立ち止まって見上げた空に。

限りなく視界良好

中村佑介さん講演会@愛知県立芸術大学

アジカンのジャケットイラスト等を手がけている中村佑介さんの講演が行われるということで、愛知県立芸術大学まで足を運んできました。


寝坊→あとわずかのところで電車に乗り遅れる→仕方ないので10分後の電車に乗る→芸大前駅に着くとシャトルバスは出たばかり、という最悪な流れに嵌ってしまい、大学に着いたのは講演開始時間から十数分が過ぎたころ。急いで講義棟に向かい、焦る気持ちを必死に抑えながら講義室のドアをそっと開いて中に入ると、立ち見の人が入口付近にまで溢れているような盛況っぷり。そして当たり前ですが話はすでに始まっていて。でも、私がいちばん聴きたかった、これを聴くために来たんだ!という話にはまだ入っていなかったのでほっと一安心しました。
もちろんそれはアジカンのジャケットを描くことになったきっかけについて。

当時中村さんは大学の助手。卒業制作でギターを持った青年を描こうと思い、モデルになってくれる人を探していました。すると、大学構内で一人の青年を目にします。バンドTシャツを身につけ、腕にはリストバンド。これはもうバンドマンに違いない!そう思った中村さんはその青年に声をかけました。
しかし予想に反し彼はバンドどころかギターに触ったことすらなく、中村さんが持ち方を教える始末。
でも、その青年:アツシくんには大好きなバンドがいました。ライブに行くとお客さんはいつも7人くらいという全くの無名バンド。もちろん中村さんが知るはずもありません。…そう、そのバンドこそがアジカンだったんです。アツシくんは早速、中村さんのポストカードをゴッチのもとへ送りました。
後日、中村さんとアツシくんは大阪で行われたアジカンのライブに向かいます。そのときもやっぱりお客さんの数は7人でした。終演後、はじめて対面する中村さんとゴッチ。そのときゴッチは中村さんにこう言いました。
「一緒にビッグになろう!」
こうして、中村さんとアジカンの関係が始まったのです。


…あーだめだ、上手い文章が全然書けない。文才のある人だったらもっとドラマチックに表現できるんだろうなあ…。まあそれは置いておいて。
「アツシくんには大好きなバンドがいました」というところでピンときたんですよね。大好きなバンドイコールアジカンで、アツシくんというのはあの人のことに違いない!って。
自主制作時代のゴッチの日記に「アツシ」という名前での書き込みがあるんです*1。その前後には中村さんとゴッチのやりとりもあって。それまでは「このころは本人とネット上で直接やりとりできたんだなあ…」ぐらいしか思っていなかったんですが、まさかそんなに重要なキーパーソンだったとは。いろんな点が結びついて一つの線になった瞬間でしたね。(そんな書き込みをいちいち覚えてるなんて気持ち悪い!というツッコミはなしでお願いします/笑)
中村さんが「一緒にビッグになろう!」と言ったときは会場にドッと笑いの渦が巻き起こったんですが、私は笑うどころか偶然という奇跡の素晴らしさに浸っていました。もうほんと、そのときバンドマンっぽい格好をしていたアツシくんに感謝したい気持ちでいっぱいですよ。
だってジャケ写の解禁が曲の解禁と同じくらいドキドキしてワクワクして緊張するようなバンドは他にいないし、アジカンのCDがゴッチの言う「手に取りたくなるような作品」になっているのは中村さんの功績によるところが大きいと思うから。サイレンなんてほんと芸術。
以前刊行されたイラストレーターという雑誌で中村さん本人が言っていたように、アジカンのジャケ写は中村さん以外考えられないし、5人目のメンバーといっても全然過言じゃないと思います。


これからもアジカンの楽曲を鮮やかに彩るような、素敵なイラストがたくさん見れますように。



講演では他にも実際にイラストをスクリーンに映しながら製作過程や画風の変遷を説明してくださったり、門外不出のお蔵入り作品を特別に見せてくださったり、質問タイムがあったりとほんとうに盛りだくさんな内容でした。お蔵入り作品をたくさん見れたのがいちばん嬉しかったなあ。お蔵入りといっても曲やアルバムの雰囲気と合わなかったために選ばれなかっただけで、クオリティは実際に採用されたものと比べても遜色ないものばかりで。個人的には君という花用に制作された、女の子の正面顔がわりと大きく描かれたイラストが好きな感じでした。


ここからは写真をいくつか。


来場者全員がもらえたポストカード。

出口でスタッフさんが配っていたんですが、受け取ってすぐに会場を後にする人は誰もいません。なぜなら中村さんにサインをしてもらうため。もちろん私もその列に並びました。


いただいたサイン。花のスタンプで隠れているのは私の本名です(笑)


講演会場の外でポストカードが売られていたので2枚購入。

アジカンのジャケットだとくっきりはっきりした色が多いけれど、中村さんの絵はこういう淡い色使いのほうが合っているとも感じたり。
右側のイラストは極楽寺にぴったりすぎだと思います。

*1:掲示板を日記として利用していたみたいです